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言葉にしてみる日記

日頃考えていることや感じたことを言語化するために書いているブログです。

国立大学の教員養成に何が求められているのか?

 今回は、教員養成に関することを取り上げたいと思います。

  文部科学省は、教員の資質向上方策等を検討する際の基礎資料とするため、平成22年4月から平成22年8月にかけて株式会社三菱総合研究所に委託し、「教員の資質向上方策の見直し及び教員免許更新制の効果検証に係る調査」を実施しました。

 この調査では、教員、学校長、保護者、教育委員会、教職課程を有する大学及び学生に対しての質問票調査と、学生、若手教員、高校生、保護者に対するグループインタビューを行っています。

 まず、私が注目したのは、「現在の学部段階の教職課程の課題」についての設問です。教育委員会や学校と大学との間の認識のギャップを示す結果となっています。

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 (※図の一部を加工)

 教職課程の課題として「内容・カリキュラムが学校現場に即していない」と答えた学校長は51.9%、教育委員会は56.3%にのぼるのに対して大学は30.7%となっています。同じく「担当する大学教員の学校現場の経験が不十分」に対しては、学校長64.0%、教育委員会60.8%と6割を超えているのに対して大学は38.6%にとどまっています。

 教員養成課程を担う大学教員の資質能力については、Benesse教育情報サイトの教育ニュースに次のような記事がありました。大変分かりやすくまとまっています。

benesse.jp

 

 次に私が注目したのが、「教員の研修」についての設問です。これは、充実させるべき教員研修の内容・方法(ただし、大学には、大学と教育委員会との連携により、充実させることができる内容等を照会)を問うたものです。

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  (※図の一部を加工)

 「各教科の内容に関する学問分野の専門的知識」については、68.4%の大学が「充実させることができる」と回答しているのに対して、教員や学校長、教育委員会では、「充実させるべき」と答えた者は3割以下にとどまるという結果になっています。

 一方で、「各教科の指導力・授業力」については、7割以上の学校長、教育委員会が「充実させるべき」と答えたのに対して、「充実させることができる」と回答した大学は4割にとどまっています。この傾向は、「生徒指導、教育相談及び進路指導」にも見られます。

 

 さて、先日、国立大学における教員養成系・人文社会科学系の組織の見直しに関する記事を作成しました。

masterpiece0924.hatenablog.com

  教員養成課程を有する国立大学に対する社会的要請は、学校現場の教育課題に対応できる高度な実践的指導力を有した教員の養成ということになるのではないでしょうか。それならば、先に紹介した「教員の資質向上方策の見直し及び教員免許更新制の効果検証に係る調査」の調査結果を、深刻に受け止める必要がありそうです。

 それは、単に新課程(いわゆる「ゼロ免課程」)を廃止して、定員を教員養成課程に振り替えればそれでよいというわけではなく、既存の教員養成課程それ自体が学校現場が必要とする人材育成機能を果たしていない可能性があるからです。

 最近の学校現場では、ベテラン教員の大量退職と若年教員の採用増による教員の年齢構成の急変による弊害が懸念されていると聞きます。 

benesse.jp

  また、初任者研修や10年経験者研修という法定研修以外にも各都道府県は、様々な教員研修を行っていますが、年齢構成の急変に対して、既存のリソースでは充分な対応が取れないという話を聞きます。

 このような現在の学校現場が直面する課題にきちんと解決策を見い出だしていけるかということが、教員養成課程を有する大学の存在意義を示す絶好のチャンスとも思えます。

 文部科学省中央教育審議会では平成24年8月28日に「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(答申)」を取りまとめています。

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 答申の概要は、上記のとおりですが、教員養成課程を有する大学、とりわけ、国立大学が自らの存在意義を社会に示すためには、教育委員会との連携・協働を進め、現在の学校現場が直面する課題に向き合い、「質の高い教員養成」を実現できるかどうかが重要になってくるものと思われます。