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言葉にしてみる日記

日頃考えていることや感じたことを言語化するために書いているブログです。

科研費改革による審査単位の大括り化


科学研究費助成事業科研費)の改革の実施方針について定めた「科研費改革の実施方針」が平成27年9月29日科学技術・学術審議会学術分科会で了承されました。

 

科研費改革の動向:文部科学省

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/10/14/1362786_01.pdf

 

個人的に注目しているのが、審査単位の大括り化です。分野を横断・融合した研究や新しい学術領域の創出に向けてこれまで細目単位で行ってきた審査単位をより大きな区分で行うように見直すというものです。

 

ちなみに、現在の制度における応募・採択状況について、「細目別の新規応募・採択件数の一覧」を日本学術振興会の科学研究費助成事業のページで閲覧することができます。

科研費データ | 科学研究費助成事業|日本学術振興会

https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/27_kdata/data/3-2-4/3-2-4_all.pdf

これを見ると、基盤研究(A)や若手研究(A)の研究種目では、応募件数が10件に満たない細目が多くを占めていることがわかります。

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また、基盤研究(B)や基盤研究(C)、若手研究(B)の研究種目では、多くの細目で応募件数10件以上でありますが、応募件数及び採択件数の多い細目と少ない細目との差にかなりの開きがあることがわかります。

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ここで重要なのが、採択率がどの細目においてもおよそ同一の水準(30%前後)を保っているということです。科研費の採択件数は、応募件数にほぼ比例して配分される仕組みとなっています。つまり、応募件数が多ければ多いほど、相対的に採択件数も多くなるということになります。

 

したがって、学会のなかには、自分たちの研究分野での採択件数を増やすために学会の会員に対して、一人でも多く科研費に応募するように呼びかけるというケースがあると聞いたことがあります。いわば、狭い研究分野内で、あるいは、狭い研究分野単位で、科研費の予算額を奪い合うという現象が生じているともいえます。

 

結果として、数あわせの完成度の低い研究計画調書が乱立するおそれもあり、決して我が国の学術研究にとってプラスにはならないと思われます。

 

審査単位が大括りされれば、審査委員もより広い分野の研究者で構成されることになります。研究者にとっては、自分の研究分野には属さない研究者でも容易に理解できるような研究計画調書を作る必要が出てきます。また、狭い分野内での競争からより複数の分野の集まる領域での競争が行われることになります。

 

今回の科研費改革によって、研究分野を横断・融合した創造的な研究が生まれてくることを期待しています。